椿びより
(イシノアヤ/EDGE COMIX)
「茶柱が立った、なんかちょっといいコトありそう」
都会に住むおひとりさま男子・椿太郎と幼なじみのバツイチ(ムスメつき)男・平岩との偶然の再会から、日常にささやかな変化が訪れる。
平岩と史生の二人家族に椿くんが自然に溶け込み、少しずつ日々の彩りが増してゆく――。
人と人とのあたたかな交流と、やさしい日常を描いたハートフルストーリーが、描き下ろしを加え遂に単行本化!
かーわーいーいー![]()
…思わず、呟いてしまうくらい可愛いお話。大人のためのおとぎ話というか、雰囲気は絵本や童話に近いかも。文章だと行間を読む感じなのが、このコミックスだとコマの間を読むというか、文字自体が少ないので、コマの中の空気を読むというか。。。とにかく、ほのぼのハートフルストーリーである。日々に疲れた心に癒しの一滴。BLに疲れた人にオススメの一冊。
帯の部分に書かれたコピーは、
「毎日が,ときめきの,連続。」 草食系男子のほのぼの恋愛未満ストーリー
なるほどなるほど。何度も頷いてしまうコピーライトである。主人公の椿が偶然出会った、元同級生・平岩。バツイチで娘の史生を育てているところに、自営業(手芸品をネットで売ったり卸したりしている)、働き者(姉が3人)、ユニセックスな容姿(きれいなお姉さんと間違われる)の天然男子・椿が登場。ここまでBLの段取りが整っていても、恋愛未満で読者を満足させてしまうのである。ふんわり、ほのぼのした感覚でお腹いっぱいにしてしまう手腕に脱帽した。
この本、実際に大した出来事は起きていない。読者が日々していることと同じく、仕事をしたり、洗濯したり、散歩したり、お気に入りの服を見つけたり、、、そんなささやかな日常を切り取っているだけである。なのに、心が温かくなるのは、椿がひとりだから。平岩もひとりだから。史生もひとりだから。誰もがひとりでいる孤独をさりげなく描くことで、一緒に居るしあわせを描けていると思う。そして、彼らの中に少しずつ相手の居場所を作って、小さなしあわせが平凡な日常に組み込まれていく。文字数が少ないが故に、椿が作る作品のような手作りの楽しさを持った本だった。
平岩の同僚が視線で語っていたのは何だったのか。
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