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2009.09.02

王様な猫

(秋月こお/かすみ涼和/キャラ文庫)


大学生の星川光魚は、なぜか動物に好かれる体質。そこで、その特技を活かし、住み込みで猫の世話係をすることに。ところがバイト先にいたのは、ヒョウと見紛う大きさの黒猫が三匹。しかも人間の言葉がわかるのだ。驚く光魚に、一番年下のシータは妙になついて甘えてくる。その上、その家の孫らしい怪しげな美青年達も入れ替わり立ち替わり現れ、光魚を誘惑してきて。


 再購入・再読。


 最近の猫ブームを見ていて、ふと読みたくなったので再読。シリーズは5巻完結で、各巻のタイトルは「王様な猫」「王様な猫のしつけ方」「王様な猫の陰謀と純愛」「王様な猫と調教師」「王様な猫の戴冠」となる。著者の秋月さんの筆がまだ定まっていなかったのか、富士見シリーズと被るようなキャラの発言なども見られるが、魅力的な本であることは確か。秋月さんの猫好き×ファンタジー好き×ホモ好きが炸裂している模様。個人的には白猫・シグマがお気に入り。大きくても小さくても、猫が好きな人にオススメ本。

 ハッキリ言って、この本は、主人公・光魚の受難シリーズといって過言ではない(著者もあとがきで認めている)。人間に変身できる猫の伴侶に選ばれ、ストーカー以上の愛情を注がれ、どん引きしつつも絆されまくり、なし崩し的に猫の嫁であることを受け入れていく…という典型的な流され受けパターン。何しろ、毛皮を着た動物たちに大人気の光魚。動物に効果大のフェロモンを垂れ流しているので、満遍なく四郎の親戚(変身できる猫)に襲われている。けど、まあ、猫だから、、、で許せてしまう数々にちょっと笑ってしまった。


 このシリーズのお気に入りポイントは、猫の気ままさが有り体に描かれていること。王都再建の会議シーンなどは、猫会議そのままだし、火が怖かったり、しっぽで意思表示するところも本物の猫そのままなのだ。よくあるBLのロリ系猫耳話とは一線を画する発想と筆致は、読んでいて違和感を感じないファンタジーに仕上がっている。四郎が光魚を追いかけてくるところは切ないし、光魚の父親との邂逅は奇妙に笑える。四郎と周辺の人達のお話をもう少し読んでみたかったが、主軸は受難どしゃ降りボーイ・光魚の心の変遷なので仕方ない。


 少し前のBLを連続して読んでいると、やっぱり最近のBLは洗練されてきていると感じる。それは作家が成長したこともあるし、BL界自体が落ち着いてきたからかもしれない。この「王様な猫」が出た少し前は、商業誌なのに誤字脱字、イラストが本文と関係ない位置に入っていたり、出版遅延が当たり前だった。同人誌の方がよくできていることも多かったのだ。それが誤字脱字も最近は余り無いし、アマチュアのネット作家がデビューすることも当たり前になってきた。そうなると今度は作家と編集者の企画・構成勝負で一般の書籍と変わらない。でも、やはり801ならではの悩みを見せて欲しいと思う。そこが無ければ、ただのエロ本なのだから。


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