ライトノベル

2009.09.06

東方妖遊記 少年王と第一の盟約

(村田栞/伊藤明十/ビーンズ文庫)


妖跋扈する古代中国・殷の時代。やんちゃな少年・晄は、腹黒の兄と男嫌いの姉に溺愛されながら、黄河のほとりに暮らしていた。ある日、晄が出逢ったのは、敏腕領主と慕われる精悍な王子・楓牙と、妖艶な占術師・累焔。二人は黄河を氾濫させ、邑人を苦しめる古妖・化蛇を探しているという。好奇心旺盛で正義感のつよい晄が、国の危機と聞いて黙っていられない!一緒に化蛇を探し始めた晄だけど!?


 よくある主人公成長物語だが、おもしろいのはタイトルに「妖遊記」とあること。ピンチの妖異を助け、心を通わせる話がメインで、そこに絡んで晄の出生の秘密や晄の神秘性が明らかになる構成だ。第十九代殷王・盤庚となる人物の少年時代の話を描いているらしいので、最終的には主人公が王様になることは決定済。そこに至るまでのあれこれを描く予定なのだろう。中華ファンタジーは読み飽きた感もあるが、さすがのビーンズ文庫というか、話がまとまっていて読みやすかった。

続きを読む "東方妖遊記 少年王と第一の盟約"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.22

お庭番 望月蒼太朗参る!

(流星香/榊空也/B's-LOG文庫)

首都・帝都。穏やかな夜の裏側で、人々の血肉を喰らおうと跋扈する異形の蟲と戦う、四神の戦士たち。しかし彼らの頂点に立つはずの、四神すべてに認められた戦士の座はもう何年も空いたままだった……。そんな時、一人の少年が現れる。彼の名は望月蒼司朗。一流の庭師を目指し、帝都城に試験を受けに来たのだ。課題として与えられた庭は荒れ放題。 愛用の枝打ち斧を片手に整備した庭には、やたらと人懐こいちび動物たちがいて!? 四神が守護する帝都を舞台に、少年の運命が大きく花開く――!!

あっという間に読了。

 著者のさすがの話運びの巧さにちょっと唸りつつも、おもしろくて何度も読み返してしまい、うっかり感想を書きたくなってしまった。モチベーションを上げてくる文章のチカラは恐ろしい…。まぁ、まだ話が序盤なので、今後のストーリー展開がとても楽しみ。個人的にはラブリーな四神の成長を見守りたい感じ。…というか、小型ショベルカーに乗った主人公に大喝采だった(笑) BLではないが、コメディ混じりのファンタジーが嫌いでなければオススメの1冊。

続きを読む "お庭番 望月蒼太朗参る!"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.08.23

マルタ・サギーは探偵ですか? 7

(野梨原花南/すみ兵/富士見ミステリー文庫)


 いつでも、愛を返して欲しかった。だから、誰かを嫌いになったりしないようにしてた。でも、もう僕はこどもじゃないから知ってる。自分にとって大事な人は、選べる。自分を軽んじない、無視しない、蔑ろにしない、尊敬できる人――――好きなひと。そのひとと一緒に、僕は僕を幸せにしていいんだ。

 そのためにマルタ・サギ―は走っていた。暗い山道を、ぼろぼろになりながら。大好きな家族のリッツを助けるために。親しくなった隣人がいるオスタスを、死の都市にしないために。そして………最愛のバーチを守るために。暗躍していたデアスミスが、ついに動き出す。リッツをさらい、『賢者の石』を手にするために、オスタスでの大量虐殺を計画するのだが!?


マルタ・サギ―完結編。非BLのライトノベル

 読みながら「もう終わるんだ…」としみじみ実感。新刊が出るたびにマルタと冒険をし、悩み、哀しみ、楽しんだことが頭をよぎり、終わってしまうのが寂しくて、読み終えるのがもったいなくてゆっくりページを捲ったりした(その手の本ではないのだが)。架空世界でのカード使いというありがちな設定なのに、最後まで読み手の目を逸らすこともなく、マルタの成長に著者が描きたかったものをちゃんと受け取った気になった。そういう意味ではライトノベルらしい1冊だったのかもしれない。

 完結まで楽しく読ませてくれた著者・野梨原さんに感謝!

続きを読む "マルタ・サギーは探偵ですか? 7"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.29

沙漠の国の物語 ~楽園の種子~

(倉吹ともえ/片桐郁美/ルルル文庫)

沙漠の聖地カヴルで天真爛漫に育った男装の少女ラビサは、"シムシムの使者"として旅立つことに。シムシムは水をもたらす奇跡の樹で、その種子を植えるに相応しい町を広大な沙漠からひとつだけ探すのだ。旅立ち直前、カヴルが盗賊"砂嵐旅団"に襲われ、ラビサは突如現れた少年ジゼットに救われる。そして二人は逃れるようにカヴルを離れ、運命の旅に出た!沙漠を舞台にドラマチックな物語が始まる。


非BLファンタジー。

 久しぶりにファンタジー系ライトノベルのアタリ籤を引いた気分で読み終えた。正直、この手のものは読み飽きた感があるけれど、数年に一度はこういった佳作に出会うので読むのを止められない。読後の雰囲気としては「リングテイル」(円山夢久)に似ているが、設定も複雑過ぎず、世界観に深入りさせずに読みやすく仕上げるあたり少女向きのルルル文庫ならでは、と感じた。珍しく時間を掛けて読んだ読み応えのあるファンタジー。


 著者は本作で第一回小学館ライトノベル大賞ルルル文庫部門大賞を受賞している。今後の作品が楽しみな作家さんのひとりである。

続きを読む "沙漠の国の物語 ~楽園の種子~"

| | コメント (0) | トラックバック (0)