きたざわ尋子

2008.11.24

透明なひみつの向こう

(きたざわ尋子/麻々原絵里依/ルチル文庫)

失敗ばかりの相馬睦紀の新しいバイトは先は、実はインチキだがよく当たる占いの館。客にも気に入られ今回は幸先がいい。そこへ雇い主の兄・麻野裕一郎が現れる。彼は、前のバイト先で睦紀が迷惑をかけたのに「気にするな」と逆に気遣ってくれた客で、知的で男らしくて睦紀の理想そのもの、そんな人からなにかと世話を焼かれ、見つめられる睦紀は――?


 読後、ちょっと物足りなさを感じた。インドカレーが食べたいときにシチューを食べた感じというか、スパイスが少し足りなかった模様。しかし、きたざわ作品なので、綺麗にまとまった恋話だと思う。カフェのバイト先で知り合った客と偶然次のバイトでも絡み、自他共にできない子認定されている主人公のレッテルを剥がすような能力開花…。穏やかで柔らかい恋物語を読みたいときの1冊。

続きを読む "透明なひみつの向こう"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.04.27

夜に溺れて

『夜に溺れて』   (きたざわ尋子/北畠あけ乃/リンクスロマンス)

大学生の古賀千絃は、過去につらい別れ方をした仁藤諒一にやり直させてほしいと請われ、再び彼と恋人同士になった。諒一を信じたいと思いながらも、臆病な千絃は諒一に対する警戒心を拭いきれない。以前と違い、優しく接してくる諒一にも戸惑い、千絃は諒一とぎこちない生活をおくっていた。そんな中、諒一から『籍を移さないか』と告げられるが、千絃は素直に頷くことができず…。


つづいて続編レビュ。仁藤諒一の逆襲編。
前回あまり語られなかった諒一の気持ちがよくわかるストーリー展開になっている(千絃視点の割に)。前作『恋に濡れて』のように、かさぶたに隠された傷のような恋ではなく、互いの気持ちを少しずつ擦り合わせていくようなもどかしさが今回の特徴。思いがけない諒一の不器用さに千絃への必死度が伺えて読んでて実はとても楽しかった。一度手酷く裏切られた千絃が諒一を素直に信じられないのは当然のこと。土がついた信頼を回復するのは難しいものだし、千弦についてはなんでこんな男に引っかかるかな(以下略)…と今回も呟いてしまった(笑)

続きを読む "夜に溺れて"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.04.22

恋に濡れて

『恋に濡れて』   (きたざわ尋子/北畠あけ乃/リンクスロマンス)

高校生の古賀千絃は、両親を亡くして以来、冷めた美貌と周囲への素っ気ない態度のせいで孤立した生活を送っている。そんな千絃にも大切な思い出があった。幼い頃にたったひと夏だけ、兄のように慕った仁藤諒一と一緒に暮らした日々。休みを利用して、思い出深い別荘地に向かった千紘は、偶然諒一と再会する。昔と変わらない諒一の包み込むような優しさに、千絃の鬱屈とした心は癒されていく。だが諒一が、千絃に突然告白してきて。


痛みの中に広がる甘さが、なんだかとても癖になる話。
実はこの本、一読後に手離した経験があるのだが最近になって再購入した。理由は「続編が出たから」。どうせ読むなら前作から読み返したいという衝動に抗いきれなかったのだ。まさか続編が出るとは思ってもいなかったのは、この1冊の完成度が高かったから(と思う)。読み返しても、相変わらず諒一はひどい男だし、千弦は若さゆえのもろさ…みたいなものがとても魅力的で、千弦についてはなんでこんな男に引っかかるかな…と何度も思ってしまった。

続きを読む "恋に濡れて"

| | コメント (0) | トラックバック (1)