ミステリ・文芸 その他

2009.02.16

獣の奏者 Ⅰ闘蛇編 Ⅱ王獣編

(上橋菜穂子/浅野隆広/講談社)


けっして人に馴れず、また馴らしてもいけない獣とともに生きる、宿命の少女・エリン。ある日、戦闘用の獣である闘蛇が何頭も一度に死に、その責任を問われた母は処刑されてしまう。孤児となったエリンは蜂飼いのジョウンに助けられて暮らすうちに、山中で天を翔ける王獣と出合う。その姿に魅了され、王獣の医術師になろうと決心するエリンだったが、そのことが、やがて、王国の運命を左右する立場にエリンを立たせることに……(Ⅰ闘蛇編より)。


 ヒロイックファンタジーなので記事を書くか迷ったが、どうしてもこの本の感想を吐き出さないと次へ進めない。文字のチカラって凄いと感嘆。たまたま深夜にアニメを目にして興味を持って手に取った本だけれど、アニメでは単純化されていた部分を文字で読むと、物語の奥行きとなって広いファンタジー世界を作り出していた。文字でしか表現できない世界を久々に味わった感覚。闘蛇編に比べて王獣編はややバランスが悪いので、文庫落ちしてから読むと価格的にはちょうど良いのかも。

続きを読む "獣の奏者 Ⅰ闘蛇編 Ⅱ王獣編"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.06.27

ダーリンは外国人

『ダーリンは外国人』   (小栗左多里/メディアファクトリー)

「やれああしろこうしろの、やれって何?」突然こんなことを聞かれたり、映画鑑賞中に驚くべき行動を目にしたり…という国際結婚の毎日を描いた描きおろしエッセイ漫画。言葉や文化の違いを考えたり、おちゃらけたりしています。彼の母語は英語ですが、「母音の前の『The』は『ジ』って読むんだよね?」と聞いたら「え、ほんとに?」と驚かれました。どうなっとるのか。そんな英語の話や、あっち向いてホイ(でのうろたえぶり)など、結婚以外のテーマもたくさん入ってます。


へぇ~、この本ってコミックなんだ!
…というのが本を開いた感想。書店で見かけて以来ずっと読んでみたかったが、中々古書店に出回らなかったのだ。つまり人気の有る本だということですな。…なんとなく語学系の本だと思っていたので(英会話の棚にあるし)コミックス系だとは思わず盲点を突かれた感じ。読みやすい本でさら~りと最後まで読めた。まぁその。読後に『惚気か?』と呟いてしまったのは純粋に僻みですよ。エェ(笑)

続きを読む "ダーリンは外国人"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.05.10

ぼくのミステリな日常

『ぼくのミステリな日常』   (若竹七海/朝倉めぐみ/創元社推理文庫)

社内報の編集長に抜擢され、若竹七海の不完全燃焼気味なOL生活はどこへやら。慣れぬカメラ片手に月刊『ルネッサンス』創刊へ向け、準備おさおさ怠りなく。そこへ「小説を載せろ」のお達し。プロを頼む予算とて無く、社内万歳ともいかず、すまじきものは宮仕えと嘆く間もあらばこそ、大学時代の先輩に泣き付いてみれば匿名作家仲介と相成る。かくして月々の物語が紙上を飾り…


なんとなく目に付いて衝動買いの1冊。
書店でパラパラめくっていると他のミステリとちょっと違うことに気づいたのだ。短編集?と首を傾げたくなるページ割りなのだが、しっかり長編の意味合いも備えている…というか、1冊として考えると『ほぼ』長編なのだ。文庫で手に取ったが、あとがきを読んでいてこの本が著者のデビュー作であり、最初はハードカバーだったことが伺えた。文庫落ちするということはそれなりに人気があったのだろう。いつもは海外翻訳ミステリばかり読んでいるので、直接的な人死にが出ないこの本は個人的に角の丸いミステリという印象が残る。だが、ストーリー構成がおもしろいので日本のミステリが苦手な人にもおもしろく受け入れられると思う。

続きを読む "ぼくのミステリな日常"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.03.16

マルタ・サギーは探偵ですか? (2)

『マルタ・サギーは探偵ですか? 2  冬のダンス』
 (野梨原花南/すみ兵/富士見ミステリー文庫)

「わたくし、カード戦争委員会から参りました。―――マルタ・サギーのフォローをするために」
シェリー・オーウェンは微笑んでそう告げた。異世界・オスタスで、名探偵事務所を営む”完璧な探偵にして全く探偵でない”マルタ・サギー。あらゆる世界の法則を捻じ曲げる”名探偵”のカード使いである彼は、カード戦争から逃れられない。カード戦争は誰が何のために始めたのか? 世界の神秘に通じるその謎を巡って、ドクトル・バーチが属するフィランシェ教室もまた、動き出す。それはマルタの助手・リッツの過去へと続く、ある人物の登場をも意味していた――。

おー! 待ってました!!
「マルタ・サギー」シリーズ第3弾は、世界の謎とドクトル・バーチにちょっと近づいたような1冊。前の感想はこちら。薄い本なのだが、時間を掛けてじっくり読んだ。カード戦争を中心にストーリーと世界観が構築されているこのシリーズは、ジャンル分けをするとしたらライトノベルだろうか(レーベル的にもね)。不思議でありえない事が一杯の話なので、ファンタジーであることは間違いない。しかし、どこか詩的で読み逃すのがもったいないと思わせてしまう部分が必ず紛れ込んでいる。私感だが「ブギー・ポップ」シリーズに通じるものがあるような。

続きを読む "マルタ・サギーは探偵ですか? (2)"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.03.05

欠陥住宅物語

『欠陥住宅物語』  斎藤綾子/幻冬社文庫/2005

現実の裁判闘争と同時進行で執筆、驚くほどスリリング!40歳、女流ポルノ作家。ひとりで生きていく決意をして一戸建てを購入。が、ナント欠陥住宅だった。悩んだ末に、弁護士を雇い悪徳不動産会社を訴えることに。その結末は?へなちょこ女がタフになっていく、ハッピーな成長小説。

復帰第一弾はまともな本か。
…と思いきや、著者名を見てピンとこられた方も多いことだろう。いやいや、私は純粋にタイトルを見て読みたい本を手に取っただけなのだが、これがまさか自分のジェンダー観を揺るがす本になろうとは思いもよらなかった。人生何があるかわからないとはこのことで、ボーイズというオトコばかりの恋愛物語を多読していた私の視野狭窄を促した本になったことは確かだ。

続きを読む "欠陥住宅物語"

| | コメント (0) | トラックバック (1)