うえだ真由

2007.02.20

恋の行方は天気図で

(うえだ真由/橋本あおい/ディアプラス文庫)

お天気キャスターの柚生は、帰省中に倒れ運ばれた先の病院で、高校の頃の親友、知明と再会する。それは、卒業以来連絡を絶ち、忘れようと努めた片想いの相手でもあった。ストレスで胃を壊し、そのまま実家で療養することになった柚生は、早く東京に戻らなくてはと焦る一方で、再び近づいた知明との距離を心地よく感じ、恋心を再燃させていく。
そしてどうやら、想いは一方通行ではないようで……?

可愛い話。

気象予報士というのが難しい試験だというのは聞いていたが、本文中で合格率4%と知り、そんなに難しい試験だったのかと開眼。そんな国家試験に高校生ながら合格し、大学生で「お天気お兄さん」になり、就職先もお天気キャスター…というお天気づくしのストーリー。うえだ真由さんらしい等身大のキャラ設定で、優しく温かい物語にラストまで辿り着くのはアっという間。全体を通して主人公の柚生(ゆい)が自分のやりたいことに気づいて成長していくのがとても好ましく読んでいける。いつも思うが、うえだ真由さんの本は主人公達と泣いたり笑ったりできる心の安定剤である。誰もが持っている抽象的な悩みを描くのが上手い作家さんだと感心してしまう。温かい話を読みたくなった時にオススメの1冊。

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2006.10.22

それはそれで問題じゃない?

(うえだ真由/高橋ゆう/ディアプラス文庫)

世里の家に、父の教え子・建志が、居候としてやってきた。大学教授の父は不在がち、母代わりの祖母は長期入院中、一人暮らし同然の生活を満喫していた世里の毎日は一変。建志はでかい身体で威圧的なオーラを漂わせ、何かにつけ世里の素行に口を出す。反抗したくても敵わないのは一目瞭然。それでも互いのペースが掴めかけてきたある日、祖母が息を引き取った。その時見せた建志の優しさに…?

うえだ真由さんらしい健やかな話だった(BLなのに)。

書き手の好みの設定もあるのだろうが、うえだ真由さんの本を読むと近所のお兄ちゃんやら同級生やらをイメージする気恥ずかしさがある。それは設定キャラと読み手が近いということで良いことなのだと思う。しかも、どこか温かい話が多い。凄く不幸ではなく「ちょっと不幸」。凄く幸せではなく「幸せへの一歩目」。手を伸ばせば届きそうな世界観が男同士でも大丈夫的なファン心理を作り上げてしまう。…不思議だ。

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2005.10.14

スノーファンタジア

(うえだ真由/あさとえいり/ディアプラス文庫)

里央は親友の陽史に密かに想いを寄せていた。だが陽史の恋人が半年間の留学に出発した日、見送りに行ったふたりは事故に遭い、陽史が記憶喪失になってしまう。彼女の存在も忘れた陽史は、親身に面倒を見てくれる里央を自分の恋人だったと思い込む。ずっと叶わぬ恋だと諦めていた。でも、ひとときでも陽史の恋人になってみたい——。その気持ちに抗えず、里央は陽史のキスを受けてしまい……。


砂糖菓子のようなお話。
切ないけれど一途な主人公に感情移入してしまえば、あとは最後まで一息で読める。ボーイズで記憶喪失話とくれば『相手の愛情の深さを図る手段』としてよく用いられる手法だが、うえだ真由さんのすごいところは「愛情の深さ」を立体構造にしている部分だろう。彼から見れば大事な恋人でも、彼女から見れば邪魔者…、事情を知らない友人から見れば二人はただの友達同士。いつも思うが、うえださんの著書は(やろうと思えば)どのキャラにも感情移入できるのだ。里央が自分に正直で、それ故色々と悩んでしまう…という部分に共感しつつも、恋愛の残酷さのようなものを描き出す著者に思わず唸った1冊だった………。

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