ら行

2006.09.05

くちびるに愛の歌

(李丘那岐/亀井高秀/ルチル文庫)

伯父に引き取られた田辺広明は、3つ年下の瀧頭翔一郎を義弟として可愛がっていた。しかし翔一郎は、広明を独占しようと、無理やり体の関係を結ぶ。いけないと思いながらも拒むことができず関係は続き、伯母にばれたことをきっかけに、広明はニョーヨークに逃げてきた。それから3年―広明のもとに翔一郎が現れる。動揺する広明は…。伯父に引き取られた田辺広明は、3つ年下の瀧頭翔一郎を義弟として可愛がっていた。しかし翔一郎は、広明を独占しようと、無理やり体の関係を結ぶ。いけないと思いながらも拒むことができず関係は続き、伯母にばれたことをきっかけに、広明はニョーヨークに逃げてきた。それから3年―広明のもとに翔一郎が現れる。動揺する広明は…。

こういう話何て言うんだっけ…? と考えて「健気受け」と思いつく。

お話自体はネット小説の完成度を高くしたような印象。なぜなら、お話はほぼ主人公達の周囲で動いているので、ほとんど世界観とかそういうものはわからない。ひとつわかるのは「二人の世界」。広明が翔一郎から逃げて渡米する辺りの伯父との関係とか、翔一郎が歌ったアメージンググレースがどう周囲に聞こえたのかとか、翔一郎の大学休学中の理由とか、広明が留学してた割にアメリカに慣れていないとか。説明不足でストーリーに入り込めないところが多々見られた(字数制限で切られたのかもしれないが)。

しかし、中々魅力的な展開で、特に教会でのやりとりなどは楽しく読んだ。この作家さんは会話のテンポがとても楽しいのだ。もしかすると台本とか脚本に才能がある人なのかもしれない。…というかストーリー的にも、きっぱりアメリカ生活で終わらせておけばかなり楽しかったのになぁ。例えば、アメリカでやりたい放題やった翔一郎のビザが切れちゃって日本へ強制送還…。ジェイを巻き込んで新しい歌のジャンルを作り出してそのまま永住…。広明を力でねじ伏せて下克上…。下手に伯父伯母との和解とか入れるから話がわからなくなってくるのでは。まぁ、個人的な妄想意見だが。

「歌」をモチーフにした恋愛小説は多い。もちろんBLでも芸能モノといえば、モデルに歌手に俳優…とキャラ設定だけで数え上げればきりがない。しかし、すべてがその小道具を使いこなしているかといえば、そういう訳でもなく。いっそ清々しいほどに設定を生かさず恋愛をしているカップルもBL界ではよく見かける。きっかけ作りに使用…その後放置…ってパターンが一番多いかな。それにしても、翔一郎がかなり有名な歌手という設定の割にその歌声すら広明には知られていなかった…という残念な結果には笑った。あのやり手の白石さん。歌手の売り込み戦略間違ってませんか?



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2005.10.31

桜の園の囚人。

(六堂葉月/巴里/アルルノベルズ)

桜が咲く美しい屋敷に、正紀は囚われていた。児童施設で一緒に育ち、悲しい分かれ方で引き裂かれた初恋の和己を探しにきた正紀は、ドイツの金融王・アレックスに監禁される。メガネで理知的な超二枚目の外国人アレックスに支配され、目的もわからないまま、正紀の身体は淫らな快感を覚え込まされていく。酷いはずの男なのに、そのキスはなぜか優しくて・・・。


イラストを見て手を伸ばすのをためらった1冊。
鬼畜話だったらどうしよう…とビクビクしていたが、読み終えてみれば意外と大丈夫だったことにホッとする。あらすじだけ読めば「幼馴染再会モノ」。気持ちがすれ違いまくる主人公達の心の動きは読んでいる途中ではよくわからなかった。…どちらかというと、読み終えた後に『あぁ、そういうことだったのか』と思うようなストーリーなのだ。もう少し距離を置いて話を眺めると、攻めキャラ・アレックスの涙ぐましいアピールが見えてきてホロリと感涙(嘘ツケ)。さすが六堂さん。シリアスに筆を乗せてもどこかラブコメ風味が残る。いや、まぁ、イラストは怪しさ全開なんだけどねぇ(吸血鬼モノかと思ったさ)。

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